この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
ご相談者は相談時点では判断能力はしっかりされていたのですが身体の機能は弱ってきて施設に入所されていました。親族のなかで頼れるのは姪だけで、身の回りの手伝いをしてもらっていました。いずれ認知症になり自ら財産管理ができなくなったとき、またいずれ亡くなり相続が発生したとき姪以外の他の疎遠の親族を相続争いに巻き込みたくないとご相談されました。
解決への流れ
任意後見契約と公正証書遺言の合わせ技で認知症と相続に備えることにしました。任意後見契約とは、あらかじめ自分が認知症などで財産管理ができなくなったときに後見人になってもらいたい候補者を選んでおき、その候補者と公正証書で契約を結んでおくものです(裁判所が選ぶ後見人とは異なり、自分で候補者を選んで決めておけるところがポイントです。)。相談者は、後見人の候補者として姪を指定して、相談者と姪との間で任意後見契約を結びました。それと合わせて、すべての財産を姪が相続できるような内容で公正証書遺言を作成しました。こうすることで、認知症になって判断能力を失ったときから、亡くなって相続が発生するまで切れ目なく準備をしておくことができます。
相談者は施設に入所されていたのですが、そのような場合、公証人に施設まで出張してもらい施設で公正証書を作成することができます。公正証書遺言を作成するには、証人が2名必要ですが、相続を受ける予定の方(今回のケースでは姪)は利害関係があるので証人になれません。このような場合、相続の専門家である弁護士が証人として立ち会うこと内容の正確性も担保できます。