この事例の依頼主
60代 男性
大変残念なことに、被害者は事故から5日程度でお亡くなりになってしまいました。四十九日も過ぎて、これから事故をどう解決していけばよいのかということでご相談いただきました。
被害者がお亡くなりになられた場合、相続が発生します。そこで、相続人は誰かということを最初に調査する必要があります。弁護士の職務上請求により、各役所から戸籍を取り寄せ確認したら、その前の戸籍を取り寄せ、相続人が確定するまで繰り返します。今回は相続人の数は3名でしたので、それほど複雑な戸籍ではありませんでした。そして、相続が発生した場合、一般的には相続人全員から委任(依頼)を受けなければ、事故の最終的な解決になりません。そのため、弁護士から相続人へお手紙を送り、無事全員から委任を受け、合わせて被害者請求に必要な印鑑証明も取り寄せました。死亡診断書は、役所に提出するだけでなく、自賠責保険に提出する必要があるので、原本を複数枚用意しておくと便利です。こうして、自賠責保険へ被害者請求を行い、自賠責分を先に回収したところで、遺族から裁判はやらずに早期解決をしたいとの意向を受けました。重大な事故であれば重大なほど、一般的には裁判をした方が、賠償金の金額は高額になります。しかし、遺族のお気持ちを尊重して、今回は早期の示談交渉にて解決することを目指します。その結果、慰謝料の上乗せにも成功し、約5000万円での解決となりました。裁判をすれば、遅延損害金や弁護士費用の一部を加害者に負担させることができますので、この金額より増額できたかもしれません。そのため、このような事故では、弁護士として裁判をすることをお勧めしています。しかし、今回は早く事故を解決して次に進みたいという遺族のお気持ちを尊重し、早期に適正な金額での解決となりました。必ずしも最良の解決は、金額を最も増やすことだけではありません。被害者に寄り添うためには、被害者のご希望に最大限沿う形で解決する事が必要なのです。
この事故の場合、裁判をすればより高い賠償金を獲得できる可能性がありました。しかし、本件では、ご依頼者様が早期解決を目指したことから、示談交渉により裁判基準と比べて遜色のない金額で解決することができました。当事務所では、保険会社と安易に示談をせず、裁判をしたほうがご依頼者様にとって有利な場合は、積極的に裁判をしております。もっとも、早期解決のご要望があるご依頼者様もいらっしゃいますので、事案に応じてご希望に沿うような形での解決を目指しております。