この事例の依頼主
男性
公然わいせつの罰金前科1犯の方からの依頼で公道に面した建物室内の窓際で公然わいせつ行為をして弁護士泉義孝に弁護依頼があった事案でした。
公然わいせつは社会の健全な風俗という社会的な利益を害する犯罪であり、被害者は社会なので個人が被害者の犯罪のように示談すれば不起訴になる犯罪ではありませんが、公然わいせつの場合は経験上目撃者との間で示談すれば同種前科がないか1回であれば不起訴となることが多い事件です。本件も目撃者との示談を目指して、警察署の生活安全課を通して目撃者の連絡先を聞こうとしましたが、目撃者からは連絡先の開示‐示談を拒絶されました。しかし、公然わいせつの同種罰金前科が1件だったことからぎりぎり略式起訴(通常裁判を省略して罰金刑を科す手続き)による罰金刑となると予想しておりましたが、公判請求(通常裁判)となりました。どうして公判請求になったのか私、弁護士泉義孝は関心を持ちましたが、起訴状の記載から公然わいせつ行為に加えて、窓際でそれ自体違法ではないのですが、「ある性的行為」を行ったことが原因と判断しました。被告人本人は「ある性的行為」は絶対行っていないと強く訴えてきたことから、執行猶予付き有罪判決には変わりないものの、「ある性的行為」を否認してそこを争点として争いました。目撃者が「ある性的行為」を目撃したと供述調書で述べていることから、目撃者の当該供述調書部分を不同意(証拠として裁判に提出することを拒むものです)としましたが、目撃者を検察官が証人請求されると不利になるため、証人請求をされない形での不同意とする工夫をしました。結果的には検察官は証人請求せず、判決での認定は「ある性的行為」をしていないとなり、求刑6か月(公然わいせつの法定刑は6か月懲役)のところ、裁判所は5か月の懲役として執行猶予付きとする判決を出しました。
通常、執行猶予を判決でつける場合は検察官の求刑通りの刑とするのが通常であり、求刑した刑罰を短縮するのはあまりありません。判決結果に影響なくとも、依頼者である被告人の意向に沿って弁護活動をした事案でした。