この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
40代男性が、4輪自動車との交通事故により、股関節の機能障害、股関節裂隙の狭小化などの傷害を負った。両ひざが曲がらないため、トラック運転手の職を失い、無職となった。2年間は加害者の保険会社から休業損害として一定金額が月々支払われていたが、それも打ち切られた。しかし、就職の目途は立っておらず、サラ金への返済金や生活費の捻出に窮していた。また、後遺障害認定も出ていない状態で、請求できる賠償額も未確定であった。
解決への流れ
裁判所に、裁判をする間の生活費やサラ金への返済金に充てるために300万円を加害者に仮払いするよう命じる決定を求めて申立をしたところ、一時金として50万円、その後10か月にわたって月々25万円の合計300万円の仮払い決定を出してもらった。
交通事故での怪我が長引いた場合、加害者が加入している保険会社からの休業損害相当の保険金の支払いが、途中で打ち切られてしまうことがあります。そのような時に、①裁判ではまだまだ多くの賠償金が勝ち取れる見込みがあること、②このままでは生活に支障を来してしまい裁判での判決を待っている余裕がないこと、といった条件が揃っていれば、裁判で認められる見込みの賠償額の一部を先に仮に支払うように加害者に命令してもらえることがあります。このような手続を仮払いの仮処分と呼んでいます。この申し立てをするには、裁判で勝てる見込みの賠償額を立証するために、できれば後遺障害の等級が出ていることが望ましいのですが、まだ出ていない場合でも、うまくすれば、後遺障害診断書に記載された障害の内容をもとに、「○○という理由で、少なくとも△△級程度の認定は確実である」というような主張をして、一定額の仮払いを勝ち取ることができます。この事例では、そのような主張の工夫がうまくいって、希望する仮払い額の満額を認めてもらうことができました。