犯罪・刑事事件の解決事例
#人身事故 . #慰謝料・損害賠償 . #後遺障害等級認定

【半月板損傷】<遺障害等級14級⇨弁護士介入後12級へ>被害者の勝手な転倒事故と主張されていたが裁判により加害者に非のある事故と認めさせた事例(0円⇒900万円)

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木村 治枝 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人小杉法律事務所福岡オフィス
所在地福岡県 福岡市早良区

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

Nさんは40代男性の公務員です。センターラインの無い道をバイクで走行中、対向から車が出てきたため、衝突を避けるためハンドル操作を行いましたが、その際にNさんは転倒してしまいます。Nさんは、膝から血を流し、横たわっていましたが、加害者は謝罪をせず、警察や救急車を呼ぶこともしませんでした。Nさんは頭は打っていなかったので、自分で救急車と警察を呼び、救急搬送されて病院へ運ばれました。警察から加害者の連絡先を教えてもらい連絡しましたが、Nさんが勝手に転んだ事故なので、こちらとしては自賠責保険以上に対応するつもりはないと言われてしまいます。Nさんは仕方なく自費で通院をしますが、膝の痛みが取れず、後遺症として残ってしまいました。Nさんは、後遺症の申請の仕方が分からなかったので、ネットで調べて、行政書士さんにお願いすることにしました。行政書士さんが、自賠責保険会社に申請をしてくれたことにより、後遺障害等級14級の認定が出され(自賠責保険金75万円)、また、Nさんが立て替えていた治療費も回収することができました。しかしながら、75万円の金額だけだと少ないと感じたNさんは、行政書士さんに相談しますが、これ以上の請求はできない旨の説明を受けてしまいます。そこで、Nさんは、行政書士ではなく、弁護士に法律相談することにします。★法律相談行政書士がこれ以上請求できないといったのは、行政書士さんは示談交渉や裁判をする権限がないからであり、弁護士であれば、これ以上請求することができる旨の説明をしました。また、Nさんの膝の具合が芳しくなかったことから、後遺障害等級14級にとどまらず12級に上がる可能性があることをお話しました。そして、加害者が任意保険に入っていないため、自賠責保険金以上の賠償額を支払ってもらうためには、加害者から直接回収する必要がある旨を説明しました。無いところからは取れないので、加害者の資料によっては、勝訴したとしても損害賠償金を回収できないこともありますが、加害者の資力調査も行う旨の説明もしました。

解決への流れ

1 加害者の資産調査と不動産の仮差押え加害者の資産調査を行いましたが、加害者は会社経営者であって、会社所有の土地建物があることが判明しました。また、加害者自身も、持ち家があることが分かりました。そこで、加害者と加害者の会社が有する土地建物をすべて仮差押えすることにしました。2 裁判 横浜地方裁判所(1)加害者の会社も被告にする裁判をする前に、加害者に対して内容証明郵便を送付し、損害賠償金を支払うよう求めましたが、Nさんの自損事故であるとして激怒され、1円も払わないと言われてしまいます。とても不誠実な人物であったため、支払義務者をなるべく増やしておいた方が良いと考え、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律2条1項・会社法350条に基づき、加害者のみならず、加害者の会社も被告に加えて訴訟提起することにしました。(2)過失割合被告は裁判において、黒い車とお見合いになっていたところ、その横をすり抜けてきたNさんのバイクが勝手に転倒したという主張を始めました。双方の主張がまったく一致しないため、尋問が実施されることになりました。尋問では、被告に気持ちよく色々話をさせた後に、過去の自身の供述と異なることを複数指摘することに成功し、裁判所からも、被告の供述は不合理に変遷しており、信用できないとの判決をもらうことができました。ただし、被告車両とは衝突していなかったのと、転倒せずとも事故を回避できた可能性はあったことから、原告40:被告60の過失割合であるとの判決になりました。(3)後遺障害等級14級⇒12級カルテに基づく主張や、医師面談後の医師の医学的意見書からの立証により、MRI画像上、左膝内側半月板に水平断裂が認められ、これは交通事故外傷によるものであるから、後遺障害等級は自賠責保険認定の14級ではなく12級13号である旨の判決を獲得できました。(4)逸失利益Nさんは公務員で、本件交通事故の後に仕事を休んでも給料は減っていませんでしたが、仕事の内容状、膝の後遺症は仕事に影響することや、現在給料が減っていないのは本人の努力によるものであることを立証し、67歳までの逸失利益が肯定されました。(5)慰謝料増額ギプス固定し自宅で療養していた期間を入院期間と同視させ、裁判基準の通院慰謝料よりも増額した慰謝料認定を得ることができました。(6)判決以上が認められた結果、損害賠償金約900万円がみとめられることになりました。(7)控訴被告から控訴がなされ、東京高等裁判所に審理が移りましたが、東京高等裁判所もNさんの主張を認めてくれました。(8)判決認容額の回収判決が確定すると被告の財産を差し押さえることができますが、差し押さえる前に不動産を売られてしまっては、差押対象の資産がなくなってしまいます。しかし、この点は事前に不動産の仮差押えをしていますので、加害者が不動産売却による執行逃れをすることは封じてあります。この点を加害者の代理人の弁護士にお伝えし、なんとか900万円を支払ってもらいました。

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木村 治枝 弁護士からのコメント

【解決事例のポイント】① 行政書士が後遺症の申請を行うことにより14級の認定がなされていたが、弁護士介入後後遺障害等級12級13号に変更② 加害者側は被害者が勝手に転倒した自損事故であると主張していたが、尋問で加害者の供述であることが不合理であることを明らかにし、加害者に非のある事故であると認めさせた③ 加害者側0円提示⇒裁判により約900万円の判決④ 加害者無保険のケースだったが、加害者の会社の土地建物や加害者の自宅の土地建物を仮差押えしておき、判決認容額全額回収⑤ ギプス固定による自宅療養期間を入院と同視させ、慰謝料を裁判基準以上に認めさせた⑥ 公務員のため給料の減収はないが、逸失利益を認めさせた⑦ 判例誌掲載判決(自保ジャーナル1996号)