この事例の依頼主
60代 女性
6カ月前にお父様が亡くなられました。相続人はご依頼者様とお兄様のお二人です。お父様の遺産としては、自宅と預貯金3000万円がありましたが、生前お父様と同居をしていたお兄様から、「預貯金を半分やるからそれでいいだろう?」と言われたとのことです。ご依頼者様は不動産も含めた遺産全部について法定相続分どおりの分割を希望しておられましたが、お兄様とは確執があり、直接話し合いたくはないとのことでした。ご依頼者様の疑問点① 当事者間で話し合う以外に遺産分割をまとめる方法はありますか。弁護士に依頼することで当事者が直接話し合う必要はなくなります。依頼を受けた弁護士は、ご相談者様を代理して遺産分割協議を行ないます。また、遺産分割調停を申し立てることもできます。② 法定相続分と異なる分け方もできるのですか。当事者間が合意をすれば法定相続分と異なる分け方をすることはできます。③ 兄が言う通り私は預貯金半分しかもらえないのでしょうか。お兄様は、お兄様の希望する遺産分割案を提案しているに過ぎないと考えますが、寄与分や特別受益があれば法定相続分と異なる割合で分けることとなります。お兄様は、法的には寄与分を主張されるのかもしれません。もし、お兄様の寄与が認められれば、法定相続分と異なる分け方となる可能性もあります。
ご依頼を受けまして直ぐにお兄様あてに受任通知を送付しました。するとお兄様から依頼を受けたとのことで、弁護士から返答がありました。相続財産、相続人確定作業と並行して、分割方法について協議をしましたが、話し合いがまとまる様子がありませんでしたので遺産分割調停を申立てました。遺産分割調停の第1回期日は申立をしてからおよそ二月後に指定されました。その後は1月半から2カ月おきに期日が設けられ、およそ1年程度で調停が成立しました。調停では寄与分や特別受益の主張が相互にいくつかなされましたが、最終的には法定相続分を基準として遺産分割をすることの合意が成立し、遺産全体のおよそ2分の1に相当する代償金をお兄様にお支払いいただくことができました。この手続と並行して相続税の申告、納付のお手続きもしなければなりませんでしたので、当事務所にて相続税申告に通暁する税理士事務所も紹介させていただきました。
ご依頼者様のお気持ちに寄り添い事実を一つ一つ紐解くことで手続がスムーズに進みました。