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生活保護「老齢加算」廃止を容認ーー最高裁判決に憤る弁護士「実態に目を向けてない」
2014年11月03日 11時40分

70歳以上の生活保護受給者に支給されていた「老齢加算」を廃止したことは違憲・違法だとして、北九州市の住民29人と京都府民3人が自治体による「支給額の減額決定」の取り消しを求めていた裁判。最高裁は10月上旬、上告を棄却する判決を言い渡し、原告側(住民側)の敗訴が確定した。

「老齢加算」は暖房や墓参りなど、高齢者特有の事情に配慮し、原則70歳以上の生活保護受給者に支給されていた。金額は地域によって異なるが、おおむね月額1万5000~8000円程度。2004年度から段階的に金額が減らされ、2006年度に廃止された。

これに対し、各地で「老齢加算」の減額処分の取り消しを求める訴訟が起きた。今回の北九州市の訴訟は、福岡高裁でいったん原告勝訴の判決が出て大きな注目を集めた。しかし、最高裁は差し戻しを命じ、再び審理した福岡高裁で、原告は敗訴していた。

原告側代理人の弁護士は、今回の判決をどう受け止めているのだろうか。高木健康弁護士に聞いた。

70歳以上の生活保護受給者に支給されていた「老齢加算」を廃止したことは違憲・違法だとして、北九州市の住民29人と京都府民3人が自治体による「支給額の減額決定」の取り消しを求めていた裁判。最高裁は10月上旬、上告を棄却する判決を言い渡し、原告側(住民側)の敗訴が確定した。

「老齢加算」は暖房や墓参りなど、高齢者特有の事情に配慮し、原則70歳以上の生活保護受給者に支給されていた。金額は地域によって異なるが、おおむね月額1万5000~8000円程度。2004年度から段階的に金額が減らされ、2006年度に廃止された。

これに対し、各地で「老齢加算」の減額処分の取り消しを求める訴訟が起きた。今回の北九州市の訴訟は、福岡高裁でいったん原告勝訴の判決が出て大きな注目を集めた。しかし、最高裁は差し戻しを命じ、再び審理した福岡高裁で、原告は敗訴していた。

原告側代理人の弁護士は、今回の判決をどう受け止めているのだろうか。高木健康弁護士に聞いた。

●月額1万7930円も減った

「憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』として、国民の生存権を保障しています。生活保護は最後のセイフティネットです」

高木弁護士はこう切り出した。老齢加算は、そもそもどんな制度だったのだろうか。

「国は『最低限度の生活』のために必要だと認めて、1960年から40年以上にわたって老齢加算制度を続けてきました。ところが、2006年に国は老齢加算を廃止してしまいました。

その結果、北九州では、70歳以上の受給者は月額9万670円の生活扶助費から1万7930円もの給付を奪われました。

国がこれほど大幅な削減を行ったのは初めてのことです。全国の高齢者は、こうした措置が『憲法に違反する』と強く憤り、今回の生存権裁判を起こしました」

●いちどは老齢加算廃止「違法」の判決が出た

今回の裁判はどういう経緯をたどったのだろうか。

「2010年の福岡高裁判決は、生活保護を受けることが権利であると認め、厚生労働大臣の老齢加算廃止は、ずさんで違法だとしました。

この判決は全国の高齢者に、人間として生き抜くことへの希望を与えました。

しかし、この高裁判決は、2012年に最高裁で破棄され、差し戻されました。そして、差し戻された後の福岡高裁でも請求を退けられ、最終的に今回、上告棄却の判決を言い渡されました」

訴訟の原告側代理人として、判決をどう受け止めているだろうか?

「最高裁判決は、貧困の中で生きる高齢者の生活の実態に目を向けていません。生活保護が憲法25条の生存権に基づく重要な権利であることを無視し、国の誤った生活保護政策を追認したもので、絶対に容認できません」

高木弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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