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「NHK受信契約」はいつ成立するのか? 矛盾する2つの「高裁判決」をどう見るべき
2013年12月30日 11時20分

NHKの「受信契約問題」が、新たな展開を見せている。NHKは近年、受信契約を結んでいない個人に対して「受信料の支払いを求める訴訟」をいくつも起こしているが、この秋から冬にかけて、高裁レベルで「矛盾する内容」の判決が出たのだ。

一つは、10月の東京高裁判決(難波孝一裁判長)。こちらでは、「NHKが契約の締結を通知すれば、承諾の意思表示がなくても2週間経過すれば契約が成立する」というNHKに有利な判断が示され、大きな反響を呼んだ。

ところが、同じ東京高裁が12月18日に下した判決は、それと異なっていた。下田文男裁判長は、「NHKからの契約申し込みと受信者による承諾という双方の意思表示がなければ、受信契約は成立しない」というNHKに不利な基準を示し、波紋を投げかけたのだ。

2つの高裁判決で、受信契約をめぐる判断が大きく分かれた形だが、このことはどう捉えればいいのだろうか。矛盾する判決をどう見るべきなのか、山内憲之弁護士に聞いた。

NHKの「受信契約問題」が、新たな展開を見せている。NHKは近年、受信契約を結んでいない個人に対して「受信料の支払いを求める訴訟」をいくつも起こしているが、この秋から冬にかけて、高裁レベルで「矛盾する内容」の判決が出たのだ。

一つは、10月の東京高裁判決(難波孝一裁判長)。こちらでは、「NHKが契約の締結を通知すれば、承諾の意思表示がなくても2週間経過すれば契約が成立する」というNHKに有利な判断が示され、大きな反響を呼んだ。

ところが、同じ東京高裁が12月18日に下した判決は、それと異なっていた。下田文男裁判長は、「NHKからの契約申し込みと受信者による承諾という双方の意思表示がなければ、受信契約は成立しない」というNHKに不利な基準を示し、波紋を投げかけたのだ。

2つの高裁判決で、受信契約をめぐる判断が大きく分かれた形だが、このことはどう捉えればいいのだろうか。矛盾する判決をどう見るべきなのか、山内憲之弁護士に聞いた。

●10月判決は「近代法の枠組み」からはみ出ている

「東京高裁には多くの裁判官がおり、それぞれが憲法に定められた『裁判官の独立』のもとに判決を下すわけですから、同じ裁判所で同じ問題について審理したとしても、それぞれの裁判官の判断がわかれることはあります」

山内弁護士はまず、このように述べる。ただ、この2つの判決は、受信契約がどのような形で成立するかについて、大きく異なる判断をしている。なぜ違いが出たのだろうか。

「10月の判決は、NHKが通知してから2週間が経てば、それで契約が成立するとしました。

ところが、契約というものは、申込と承諾という意思の合致によってのみ成立するというのが、近代法の大原則です。

それに照らすと、通知という『申込』だけで、一方的に受信契約が成立するという10月の判決は、近代法の枠組みからずいぶんはみ出ているというのが私の印象でした」

●12月判決は「従来の地裁判決」と同じ判断

では、12月の判決は、どういう判断だったのだろうか?

「一方、12月の判決は、契約締結を命じる判決が確定すれば契約が成立する、と判断しました。

これは、従来の地裁レベルの判断と同じで、判決をもって『承諾』の意思に代えることができるという民法の規定(414条2項但書き)に基づくものです。

この判決を書いた裁判官は、承諾もないのに契約が成立する根拠は放送法に存在しない、と指摘しており、その点は極めてまっとうだと思います」

●最高裁で判例が「統一」されることに期待

ほぼ同様の事例について、判決に「違い」が出てしまったわけだが、この先どうなるのだろうか?

山内弁護士は「いずれ最高裁で判例が統一されることを期待しましょう。おそらくは、12月の判決の考え方が維持されるのではないでしょうか」と予想する。

なお、12月の判決も、「契約を命じる判決が出れば、契約は成立する」としていて、結論として契約や支払いの義務を認めている。テレビがあれば必ず契約を結ばなければならないというルールそのものについても批判があるが、それについてはどう考えるべきだろうか。山内弁護士は次のように述べていた。

「たしかに、受信料の強制徴収制度そのものにも、根強い批判があります。しかし、それを変えるためには、放送法自体を改正する必要があります。これは国会、ひいては民意に委ねられている問題だといえるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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