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アダルトビデオ会社が「米国本社」のFC2を提訴!日本で裁判を起こす「方法」とは?
2014年01月07日 12時25分

アメリカに本社を置いて、動画投稿サイトなどを運営する「FC2」。このネット企業に対して、日本国内のアダルトビデオ制作会社7社が、掲載動画の削除や損害賠償を求める訴訟を起こしている。

FC2を訴えたのは、SODクリエイトやケイ・エム・プロデュースなど日本国内のアダルト映像制作会社7社。FC2が運営している動画投稿サイト「FC2動画アダルト」にビデオ作品を無断で公開されているとして、東京地裁に訴えを起こし、配信の停止や動画の削除のほか、約6500万円の損害賠償を求めている。

裁判は昨年10月初めに第1回口頭弁論が開かれたということだが、アメリカに本社を置く企業に対する訴訟も、日本国内の裁判所で行うことができるということだろうか。また、海外の企業を訴える場合、どのような点がポイントとなるのだろうか。FC2を相手にした裁判手続を担当した経験をもつ最所義一弁護士に聞いた。

アメリカに本社を置いて、動画投稿サイトなどを運営する「FC2」。このネット企業に対して、日本国内のアダルトビデオ制作会社7社が、掲載動画の削除や損害賠償を求める訴訟を起こしている。

FC2を訴えたのは、SODクリエイトやケイ・エム・プロデュースなど日本国内のアダルト映像制作会社7社。FC2が運営している動画投稿サイト「FC2動画アダルト」にビデオ作品を無断で公開されているとして、東京地裁に訴えを起こし、配信の停止や動画の削除のほか、約6500万円の損害賠償を求めている。

裁判は昨年10月初めに第1回口頭弁論が開かれたということだが、アメリカに本社を置く企業に対する訴訟も、日本国内の裁判所で行うことができるということだろうか。また、海外の企業を訴える場合、どのような点がポイントとなるのだろうか。FC2を相手にした裁判手続を担当した経験をもつ最所義一弁護士に聞いた。

●裁判を起こすためには「管轄」が必要

「日本で業務を行う外国企業に対して裁判を行う場合、日本国内の特定の裁判所に『管轄』が認められることが必要です」

このように最所弁護士は切り出した。

「管轄というのは、どこの裁判所で裁判を行うことができるのかということに関する定めです。この管轄が、日本国内の裁判所に認められない場合、日本で裁判を起こすことはできません」

裁判の管轄については、民事訴訟法が定めているという。では、外国に拠点を置く会社を訴えるとき、「管轄」はどうなるのだろうか。

「外国法人を訴える場合には、『日本における主たる事務所又は営業所』の所在地を管轄する裁判所に、管轄が認められています。

ただ、外国法人の中には、〇〇ジャパンという名前を冠しておきながら、『日本における主たる事務所又は営業所』ではないなどと主張してくるケースもありますので、その点は注意が必要です」

●2ちゃんねるを訴えるときの「方法」

だが、「日本における主たる事務所又は営業所」が実際にない場合もあるだろう。そんなときには、「日本における代表者その他の主たる業務担当者」の住所地を管轄する裁判所が、管轄を有することになるのだという。

「たとえば、ネット掲示板『2ちゃんねる』の場合、運営会社とされるパケットモンスター社は国外にあって、日本国内に事務所や営業所は存在しません。

そこで、2ちゃんねるの元管理人が『日本における主たる業務担当者』であると主張して、元管理人の住所地を管轄する東京地方裁判所で申立てを行うのが一般的です」

では、訴えようとする海外企業について調べたところ、「日本における主たる事務所又は営業所」がなく、「日本における代表者その他の主たる業務担当者」についても、誰であるのかよくわからないという場合は、どうしたらいいのだろうか。

「まず、ネット掲示板などでの誹謗中傷の削除を求めるケースでは、名誉毀損表現による権利侵害が被害者の住所地で生じているとして、被害者の住所地を管轄する裁判所にも、管轄が認められているようです。

しかしそうでない場合、外国法人に対して、一般的な裁判を起こすことは、従来の民事訴訟法の規定では管轄が定まらず、外国法人を訴えることは困難でした」

このように最所弁護士は述べる。ところが、2011年に民事訴訟法が改正されて、そのような事態に変化が訪れた。

●外国法人の「資格証明書」をどうやって取得するか

「法改正により、管轄裁判所が定まらないときは『東京都千代田区』を管轄する東京地方裁判所に管轄が認められることになりました。これにより、『日本における主たる事務所又は営業所』がなく、『日本における代表者その他の主たる業務担当者』が誰であるか判然としない場合であっても、東京地方裁判所に裁判を起こすことが可能となったのです」

ただ、裁判の管轄の問題が解決したとしても、実際に外国法人を相手に裁判を起こそうとすれば、まだクリアーしなければならないハードルがある。「実務的には、その外国法人の資格証明書(日本における代表者事項証明書)をどのように取得するか、という点が非常に問題になります」と、最所弁護士は指摘する。

「たとえばシンガポールの場合は、会計企業規制庁(ACRA)が資格証明書を発行しており、日本国内からインターネットを利用して取得できるので、それほど困難ではありません。しかしネットや郵送で取得できない国の場合は、現地の法律事務所に依頼するなどして、資格証明書を取得しなければなりません」

●アメリカは州によって制度が異なる

インターネットをめぐるトラブルでは、今回のFC2のように、アメリカの企業が問題となることも多そうだが、その場合はどうなのだろうか。

「アメリカ合衆国の場合、州によっては、郵送による取得が可能なところもあります。しかし、FC2の本社があるネバダ州の場合、現在のところ、郵送による取得はできないようです。そのため、今回の訴訟ではおそらく、現地の法律事務所に依頼して、資格証明書を取得したのではないかと思います。

もっとも、ネバダ州の場合、会社情報は電子情報で管理されていますので、その点を適切に立証すれば、必ずしも現地で資格証明書を取得しなくても、裁判を起こすことは可能です」

このように最所弁護士は、海外企業を相手に裁判を起こすときの課題と対処法について解説してくれた。インターネットがこれだけ発達しているのだから、裁判に必要な文書もみなネットで取得できるようになるといいのだが、それには、もう少し時間がかかりそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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